買主が車の名義変更をしてくれない!トラブルの対処法はある?
自動車の売買というと一般的にはディーラーや中古車販売業者が仲介します。しかし、最近ではフリマアプリやネットオークションが普及したため、個人間の売買も増えています。個人間の売買ではトラブルになるケースが多いため、今回はその中でも発生率が高い名義変更に関するトラブルの対処法についてご説明しましょう。
自動車の名義について
自動車への備え付けを義務付けられている自動車検査証には名義も記載されています。そこには所有者と使用者の欄があるのをご存じでしょうか。自動車においては、運転している持ち主が所有者である名義人とは限りません。
たとえば、自動車をローンで購入した場合、返済が終わるまでは所有者がローン会社、使用者が購入者となりますし、子どもに買い与えた自動車の所有者が親になることなどもよくあるケースです。
所有者とは、その自動車の所有権を持っている人で、売却や廃車のような重要な手続きでは所有者の同意が必要となります。一方、使用者とはその自動車を利用できる人のことで、普段からその自動車を運転する人のことです。
自動車の名義変更の手続きは、自動車の区分によって異なります。普通自動車は陸運支局で、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きをすることになり、それぞれ書類や印鑑などの必要となるものが異なるので注意が必要です。
ディーラーや中古車販売店などを介した売買では、これらの手続きをすべて代行してもらえますが、個人売買では自分で手続きをするか行政書士などに依頼する必要があります。
もし買い主が名義変更に応じてくれなかったら?
個人売買で自動車を売却した際の典型的なトラブルのひとつに、所有者の名義が買い主に移っているのに、買い主が名義変更をしないというケースがあります。ここでは買い主が名義変更をしない場合に発生するリスクについてご説明しましょう。
駐車違反の罰金が科せられる
名義変更せずに買い主が駐車禁止・駐停車禁止の場所で違法駐車をした場合、警察が運転者を特定できなければ所有者宛てに放置違反金の納付書が送付されます。
罰金の納付書が届くことによって、未だ名義変更されていないという事実が発覚することも珍しくありません。
自動車税が課税される
自動車の所有者には自動車税の納税義務があります。課税の基準日は毎年4月1日で、この時点の所有者である名義人に対して課税されるのです。
自動車を売却後、買い主が名義変更をせずに4月1日を過ぎ場合は、所有者である名義人に対して課税通知書が届き、売却した自動車に対する自動車税を負担する可能性が出てきます。
事故や事件の際に疑われる可能性がある
売買した自動車が何らかの犯罪に使用された場合、車検証に記載された所有者である名義人にも容疑がかけられるリスクが発生します。実際に賠償責任を負うことはないですが、警察から事情聴取を受ける可能性はあるでしょう。
買主が名義変更してくれなかった場合の対処法とは
ここでは個人売買で、自動車を売った相手が名義を変更しない場合に取るべき対応についてご説明します。
電話または直接会って催促する
名義変更がなされないと直接会って催促することで解決することが近道なように思えますが、いきなり訪問するとトラブルになり事態が悪化するリスクもあります。
まずは、電話やメールなどで買い主に名義変更を待っていることや、どのようなスケジュールで動こうとしているかなどを確認しましょう。
悪意はなくうっかり忘れていたということであれば、この連絡だけでスムーズに解決するでしょう。そうではない場合は次のステップとして直接会って交渉すると効果的です。
内容証明郵便を利用する
何度も名義変更をお願いしているのに応じようとしない、そもそも連絡もとれないといった場合は、内容証明郵便のサービスを利用して文書を郵送するとよいでしょう。
内容証明郵便とは文書の謄本2通を郵便局が作成し、原本を相手に送付、2通の謄本のうち1通を郵便局の証明を受けて差出人が保管し、もう1通を証明用として日本郵便が保管するサービスです。
話し合いでは解決せず法的な手段をとる際に、いつ、どのような内容の文書を買い主に送ったかの証明になるほか、内容証明に法的措置も検討している旨を明記することで、買い主に対してプレッシャーをかけることができます。
弁護士に対応を任せる
あらゆる手を尽くしても買い主が名義変更に応じない場合は、弁護士に相談してみましょう。弁護士が代理人として名義変更を要求すれば相手へのけん制となり、進展の可能性があります。
また、当事者間の話し合いが感情のもつれから予期せぬトラブルに発展することも起こり得ますが、弁護士へ対応を一任すれば話し合いが冷静に進むことが期待できるでしょう。
まとめ
自動車の個人売買は成立すれば収益が大きくなるという点で魅力的ですが、名義変更に関するトラブルも発生しやすいので注意が必要です。故意ではなく単に忘れていた場合などは当事者間の話し合いでほぼ解決できますが、こじれる場合は弁護士に相談することをおすすめします。そうすることで、何らかのトラブルに巻き込まれた際にもサポートを受けることができるでしょう。