車の個人売買で買主側が名義変更に応じない場合の対処法について解説
車の個人売買に興味を持っている人は多いのではないでしょうか。しかし、車の個人売買は仲介人がいない状態で交渉や取引を行うので、トラブルが発生しても自分たちで解決する必要があります。とくに多いトラブルが名義変更についてです。なぜ名義変更でトラブルが起こるのでしょうか。こちらで起こりやすいトラブルや対処法を見ていきましょう。
車における「名義」とは?
車の名義人はどうやって確認しますか?自動車検査証に、使用者や所有者として記載されています。車における名義は、その車を運輸支局に登録したとき所有する人の名前です。日本では車が道路を走るために必要なナンバープレート登録のときに、年式や型式番号などの車の情報と共に所有者や使用者など車の持ち主も登録されます。
この登録制度があるおかげで、その車で起こった事故や違反、車両の盗難があった場合、その車の所有者が誰なのかすぐに分かるのです。しかし、車の持ち主が変わっているのに、検査証の名義が前の人の名前のままではせっかく登録している意味がありません。実際に所有している人にすぐに名義変更しましょう。
車の個人売買を名義変更せずに進めるリスク
車の個人売買の際、名義変更がされていないことでいくつかリスクが発生してきます。
まず、車の名義人にあたる人は車の所有者です。車の所有には自動車税という税金が課せられます。自動車税は毎年4月1日にその車の名義人になっている人に税金を支払う義務が生じ、自動車税の納税通知書が届くでしょう。そのため4月1日の時点でたとえ車を実際に使っている人が名義人意外の人になっていても、名義が変わっていなければ検査証に記載された名義人あてに納税通知書が届いてしまうのです。車が手元にないからと税金を支払わないでいると、最悪の場合、財産差し押さえの可能性もあり生活に支障をきたすことになってしまいます。
次に、自分がしていない交通違反の責任を取ることになるかもしれません。交通違反をすると警察に記録されることになりますが、名義変更をしていな車で交通違反をした場合、名義人が変更されずにそのままだと、車検証に記載されている前のオーナーが違反をしたとみなされてしまうケースも。車の名義変更がされていないと、買い手側が交通違反をしても、違反によって生じた違反金の支払い義務が売り手側になってしまうのです。さらに何度も交通違反を繰り返すと違反の累積により何もしていない前のオーナーが免許停止になってしまい最悪のケースとして車の運転ができなくなってしまいます。事故や事件に巻き込まれる危険すらあるでしょう。買主が交通事故を起こした場合、事故の状態によっては多額の損害賠償請求をされることもあります。
また、名義変更のされていない車でひき逃げなどの悪質な犯罪行為が行われてしまった場合、名義が前のオーナーのままであれば、犯罪の容疑者として警察から目を付けられることに。たとえ何も悪いことをしていなくても、事件や事故に巻き込まれてしまう可能性が大きくなります。名義変更がされないということは、とても大きなリスクなのです。
車の名義変更手順
名義変更の手順を見ていきましょう。まずは売り手側、買い手側の書類を用意します。不足や記入ミスがあると当然変更できませんのでしっかり確認しましょう。買い手が名義変更をすることが一般的ですが、新しい所有者の住所を管轄する運輸支局で名義変更手続きをします。
事前準備する書類のほかに、手数料納付書、自動車税・取得税申告書、申請書(第1号様式)は、運輸支局で作成しなければなりません。用紙や書き方は申請窓口近くに用意されていますので確認しながら記入しましょう。書類を作成し、事前に準備していた書類とあわせて申請窓口に提出します。記入不備などがあると時間がかかってしまうので、提出前に再度チェックしましょう。手続きが完了すると新しい車検証が発行されます。
新しい車検証が発行されたら、次に税申告。税申告窓口に新しい車検証と準備した自動車税、自動車取得税申告証を提出します。車に付けてあった、古いナンバープレートを外し、返却窓口にて返却して新しいナンバープレートを購入。希望ナンバーの場合は事前に申し込みが必要になります。ナンバープレートを車に取り付け、封印場でナンバープレートの封印を取り付けてもらいましょう。ナンバープレートの封印取り付けには資格が必要なため、自分では取り付けないでください。
買主側が名義変更してくれない場合は?
車の名義変更が行われないのは、いろいろ事情があるのかもしれません。その際に生じるトラブルを予防するには名義変更してくれるように、買い手側に働きかけましょう。まずは買い手側に名義変更をしてもらうように連絡し催促してください。買い手の中には手続きを忘れてしまっている人もいるかもしれません。いろいろな可能性を見こし、本人に直接連絡して名義変更のお願いをしてみましょう。それでも手続きが行われない場合は、電話やメールなどあらゆる方法で何度もうながし、実際に会いに行き直接頼めば、面倒だと手続きを後回しにしている人でも行ってくれるでしょう。
売り手側からいくらお願いをしても、買い手側が手続きに応じない場合があるかもしれません。また、電話連絡してもいつも不在で電話に出てくれない人もいるかもしれません。そんな場合は、買い手へ内容証明郵便を送る手段もあります。内容証明郵便とは、送った郵便物と同じ内容のものを日本郵便が保管する、第三者が郵便物の内容に関与している送付方法になります。内容証明に、名義変更の手続きがされないと法的手段を考えていることを書けば、買い手側も焦りから名義変更に応じるパターンもあります。
交渉のとき、感情的になってしまい衝突し傷害事件などに発展するケースがありますが、そのような二次的なトラブルを避けるために、弁護士に相談することもおすすめです。法律の専門家である弁護士であれば、売り手側の代理人として迅速に対応してくれるでしょう。弁護士の中でも車に関するトラブルを得意とする人もいるので、そのような弁護士を探すとよりスムーズに問題解決してくれるでしょう。
まとめ
個人売買の取引中に、買い手側がしっかり手続きしてくれるかどうかを判断することは難しいでしょう。車に限らず個人で物を売買する場合、業者や自分以外の人が負っていたリスクを、自分が負うことになります。もしトラブルが起こってしまっても、対処法を知っていることで素早く対処できるでしょう。個人売買のメリットやデメリットをしっかりと知ることで、デメリットではなくメリットを選び取引ができるようにしてください。